鎌倉好き集まれ!一止散人さんの鎌倉リポート・第22号(2004年9月25日)

鎌倉 時の置土産

 極楽寺・桜橋のたもとにあるタバコ屋のウィンドウ。レトロな猫の置物がお出迎え。そう言えば昔、家にもこんなものがありました。
 
変わらないディスプレイと共に、閉じ込められた昭和の空気。
 力餅屋のはす向かいに、この古井戸はあります。真ん中には瓢箪を彫り出した不思議な石材が。
 
「あれ、珍しいでしょう。坂ノ下には自衛消防隊があって、消防用のホースを取り付けるため、特別に作らせたものなんですよ。いつからあるかは、はっきりしないんですが、、。」とは、ご近所の方の言。
 
右側にはサーフボード置き場、後ろには軒下飾りの付いた洋館風の民家。昔と今が混在する何気ない光景に、心惹かれます。
 御霊神社近くの洋館。壁の石組み模様や、門扉の上のレリーフが凝ったデザインで、鎌倉の他の洋館にはなかなか見ないスタイルです。純白の大きな出窓も目に鮮やか。青空の下、江ノ電の踏切り越し見るその姿は、南国の趣。
 『吾妻鑑』にもその名を見る「下馬橋」。当時と同じ場所かは分かりませんが、下馬交差点・湘南信金前に、その石柱が半ば舗装に埋もれて立っています。裏の刻銘は「大正十三年四月・・」震災後まもなく作られたものでしょう。
 
買い物帰りの奥さんが荷物をちょこっと置いたり、高校生が腰掛けていたりするのを見ると、微笑ましくもあり、寂しくもあり。
 門から50mはある雄姿、扇ガ谷の洋館。屋根の青緑、下見板の焦茶、窓枠の白、シンプルな配色が力強さを示します。
 文学館とも共通する、三方が山、南側が開けた敷地は、鎌倉の地形をそのまま縮めたかのよう。この建物は、ここに建っていなければいけないという説得力さえ感じます。

 一陣の風吹きぬけり夏館    去りゆく夏に寄せて。