鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第14号(2004年7月24日)

The mirage in high summer

やっぱり夏はこれ!
これを見なけりゃ始まらない。
夏のイメージカラーを一心に集めて。
灼熱の太陽に負けず劣らずの存在感。

蝉時雨の妙本寺境内、
この被写体の人気は鎌倉随一かと思う。

周囲の視線も一極集中。
今日もたくさんのカメラマンが、
静かにじっくりシャッターチャンスを狙っている。

凌霄花

ささやかな涼を求めて、ふらりと祖師堂へ。
ちょうど階段ほぼ中央に、
毎度お馴染みのブチ猫が、まあるくなってお昼寝。
ふくよかな体型とこの愛嬌ある落ち着きは、
あっしにドーンと任せなさい!の寅さん風。
実はこの猫、恐れ多くも「隠れ住職さん」という噂。

そんな巷の声に動ずることなく、
子供のようにスヤスヤと、安らかに気持ちよさそうな寝顔。
微睡(まどろみ)の瞬間って、猫も人間も同じだね。
妙本寺参道脇 魚屋さんの店先。
透明感ある淡いピンク色をした肉厚の鯵が、
灼熱の太陽にジワジワと干されてゆく。
水揚げされてまもなくの新鮮な魚たち。

ムムム、食べ頃、食べ頃・・・。
ゴクリと唾を飲み込んで。

・・・とその時、魚屋さんのおじさんが、
ぎょろりとこちらへ視線を向ける。

我輩は猫である。名前は未だ・・・。
次第にいたずら猫の心境に近づく。

干物

谷口屋

本覚寺門前にあるお休み処。
暖簾越しに、ガラスのショーウィンドーケースが見える。
できたてほやほやのおにぎりが手招きをする。

今日はここでお昼ご飯。
さすがお米屋さん、
お米の粒がきりっと立ってつやつやと光ってる。
あっという間に鮭、紫蘇、青菜を三連でペロリ。
小振りながらもその食べ応え充分。

ふと、隣のテーブルを横目でチラリ。
いいね~、粉雪のようにふわふわ さらさら こんもりと。
別腹、別腹・・・なんて言い訳しながらオーダー完了。

やっぱり夏はこれだよね。
この涼しげなグリーンホワイトとこのボリューム。
いつまでも眺めていたい魅惑のカキ氷。
漆の角盆に、さりげなく季節の花を添えて。
谷口屋をあとに、大町通りを抜けて大巧寺へ。
小さな池に、ほんのり琥珀に色づいた蓮の花が咲く。
一瞬の狂いも無く整然と気品溢れる花形。
のびやかにうっすらと紅の輪郭がいかにも神々しい。
幽玄なる風が、幻想の世界へとゆるやかに誘う。

今日出会ったひと、もの、こと。
ねこ、さかな、おにぎり・・・。
ゆらゆらと蜃気楼のように浮かび上がる。
もはや既に、真夏の夜の夢の中か。

ふっと現実に舞い戻った瞬間、
充実の満腹感。
やっぱり、少し食べ過ぎたかなぁ。