鎌倉好き集まれ!KIさんの鎌倉リポート・第29号(2006年12月22日)

御鎮座記念祭 ~冬の訪れを告げる祭事

去る12月16日(土)に,鶴岡八幡宮の御鎮座記念祭御神楽を見学してきました。毎年,この日に行われる鶴岡八幡宮,冬の風物詩とも言える祭事です。舞殿前の石畳での神楽は,一切の電灯を消し,かがり火の明かりだけで行われます。この幻想的な雰囲気が大変素晴らしいとあって,例年,多くの見物人でいっぱいになります。
 自分は,2001年,2005年,そして今回2006年と3回それぞれ異なる場所から,この祭事を見学しました。前々回,前回の御神楽の写真も交えながら先週に見学してきたこの神事をレポートしたいと思います。

真っ暗な境内,本殿の階段を神職たちが厳粛に下りてきます(2001年撮影)。

2006年12月16日,午後4時半過ぎに鶴岡八幡宮の境内に到着しました。

舞殿前は,神事を執り行う神庭の設営がすでに終わり,柵で区切られた見学エリアはすでに人垣が出来つつありました。 

祭事は午後5時に始まります。まず,神職達が本殿で30分ほど祈祷などを行いますが,これは本殿の屋内で行われるので見学者は見ることが出来ません。
 
そして,午後5時半。神庭の電灯が一斉に消え,段上から多くの神職達が一列になって降りてきました。

周囲のざわめきが消え,あたりは静寂そのものになります。
神主,神楽の舞い手,大勢の管弦の奏者が神庭に降り立ち,それぞれの場所に着座しました。

白装束直垂の神職が前に進み出て何やら唱えます。 

神庭での祭事の始まりを告げているのでしょうか,それとも本殿から神様をお迎えしているのでしょうか,

冷え込む中,掛け声とともにかがり火が点灯されます。


まず最初は,後に「人長の舞」を奉納する神職がゆっくりとかがり火に進み出ます(2006年撮影)。

御神楽の第一演目「宮人の曲」。茣蓙の敷かれた神庭の真ん中へと進み出ます(2001年撮影)。

石畳が赤々と照らし出されまています。

琴の伴奏と神楽歌が始まり,あたりはよりいっそう厳粛な空気に包まれました。

30分ほどの奏楽の後,いよいよ神楽の舞いが始まります。

最初は宮人の曲です。
 
再び奏でられる音曲に4人の舞姫(巫女さん)がおもむろに立ち上がり茣蓙の上へと進みます。本殿に向けて平伏してから,剣の鳴り物を手にゆったりと舞います。

この舞いは,1191年,焼失した八幡宮を遷宮した折,奉納された「宮人曲」の舞いを再現したものだそうです。その名のとおり,平安後期の宮中で舞われていたものだそうで,舞姫の装束も中世の頃の宮廷女官の衣装を彷彿とさせます。

古くは,神楽のことを「神遊び」といっていたそうです。火の光に紅色に染まり,優雅に舞う様子はまさに神遊びという表現がふさわしいですね~

かがり火だけの中世当時の雰囲気そのものを再現しているので,祭事の間はカメラのフラッシュなど人工光は厳禁となっています。人も多く,自分もフラッシュなし手持ち撮影。火の明るさで十分にシャッターが切れる瞬間にしか当然撮影できないわけです。だから3年がかりでやっと一つのレポートなんですね(笑)。

でも,そのおかげで幻想的な神楽を肉眼にじっくりと焼き付けることができたのではと思います。

同じく「宮人の曲」。前の写真とは別方向からのものです(2006年撮影)。

「人長の舞」。優雅な「宮人の曲」とは対照的にりりしく舞います。手には榊の輪を持っています(2005年撮影)。

次は人長の舞です。

祭事の最初にも出てきた,神職によって舞われます。

長い直垂をした中世の宮廷装束姿です。

其駒の曲に合わせてかがり火のぐるりを舞います。きびきびと大きな振り付けが印象的です。

聞くところでは,人長の舞のほうが,宮人の曲よりも歴史が古いのだそうですね。調べたところ,神楽人の筆頭者(長)がこの舞いを行うので人長の舞というのだそうですね。

そして,人長の舞が終わり,神主さんが榊の輪を受け取り,脇に設けられた台に供えると御鎮座記念祭もお開きです。
すべての演目が終了したのは午後6時半ごろ。

電灯が点され,巫女さんたちが慌しく神庭の片づけを始めます。


この御鎮座記念祭が終わるといつも,晩秋が終わって冬が到来したなと実感します。

鎌倉もいよいよ年の瀬ですね~

神遊びが終わった石畳では消されたかがり火から煙がもくもく。。。
本殿に向けて高く立ち上る様子は,まるで八幡宮の神様が本殿へと戻っていかれているようでした。

今年も楽しかったサァ~ 来年もまた頼むからよ~♪
(一応,神様の声のつもりです・・・)


追伸,
いよいよ冬本番。めっきり冷え込んでくるみたいですね。皆さんも風邪などにお気をつけて年の瀬の鎌倉をめいっぱい楽しんでください。

御神楽が終わり,かがり火も消されました(2005年撮影)。