なにげない人の暮らしが描かれた清方作品には、細緻な筆の運びや、江戸前の粋で絶妙な配色から生み出される、豊かな四季の香りが充溢しています。 清方は師・水野年方から作画の基礎を学び、やがて自ら浮世絵の研究に専心して独自の画境を築きました。その歩みは歌川国芳から水野年方、そして自身にまで至る歌川派の系譜をひくという自覚に端を発し、同志との切磋琢磨や、同時代を生きる日本画家たちの幅広い交流などに大きく影響を受けています。 本特別展では、日本画美術同好会コレクションの中から、清方を中心に小杉放菴や山口蓬春など関連する画家たちによる優れた作品を紹介します。余白に漂う詩情や枯淡な墨の表現など、日本画ならではの美に触れていただけますと幸いです。

【投稿者:鎌倉市鏑木清方記念美術館】 管理No.101070
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