鎌倉好き集まれ!ISM-ingさんの鎌倉リポート・第10号(2004年9月14日)

佐介谷/かくれ里そぞろ歩き

隠れ里探訪の小径への入り口。源氏山方向からの眺め。




鎌倉で最も神秘を感じさせるエリア、佐介谷(さすけがやつ)。
古来刑場だったという伝説はともかく、今だに鎌倉時代そのまま
の「隠れ里」の名残りをとどめる場所です。
なかでも有名なのが銭洗弁天としてお馴染みの宇賀福神社ですが、
今回はこの銭洗弁天を、いつもと違った角度から楽しめる小径を
ご紹介しましょう。



いつもの銭洗弁天の入り口トンネルを通過してさらに坂道を登る
こと1~2分、道が弓なりにカーブしたところ、ミラーのたもとに
山の方へと続く細い分かれ道があります。
言われなければ見過ごしてしまいそうな、どこへ続くやら分から
ない何とも頼りない小径。それが隠れ里探訪コースの入り口です。
ここを入っていくとすぐに道は大きく右にカーブした後、今度は
左側が急峻な崖になって落ち込んでいるところに出ます。
崖の下には・・・

道の左側は急峻な崖。意外と整備されていて歩き易い。

銭洗弁天の境内がこんなふうに見えます。




茂った樹々の隙間を通して銭洗弁天の境内が、すっぽりと崖下の
山ふところに納まっている様子が手に取るように分かります。
折から弁天さまの祭礼の日とみえて人々のざわめきや、鉦や太鼓
の響き、奉納狂言の大音声などが、線香の煙とともに崖の底から
立ちのぼってきます。深い森の奥底に見え隠れするそのありさま
は、まさに「隠れ里」そのもの。
山の中でふと見つけた不思議な井戸の底を覗き込んだような気分
で、しばし見入ってしまいました。




結局小径は銭洗弁天の上空をぐるっとひと巡りするようにカーブ
して「こくに茶屋」脇の境内に降りてきます。入口からここまで
スタスタ歩けばおよそ5分ほどでしょうか。

左が今回の小径終点出口、右に境内の鳥居。

休憩所で演じられる奉納狂言。明るい笑いが渦巻く。




境内に出てみれば、ついさきほどの鬱蒼とした山道とは正反対の
明るく賑やかな村里の風景。やっぱり銭洗弁天は今だに「隠れ里」
だったのだなあ!と妙に実感しつつ、おでんとビール求めて茶屋
に向かったとさ・・・・

と、いうわけで第10号リポートはおしまいです。
おつきあいいただき、ありがとうございました。