鎌倉好き集まれ!KIさんの鎌倉リポート・第6号(2006年5月25日)

うりずんの鎌倉

緑も深まる5月下旬

5月下旬ともなれば,鎌倉は新緑もやや過ぎかかります。次第に緑が多く濃くなる様子に夏へと向かう季節の移り変わりを実感する頃合だと思います。
 タイトルの「うりずん」というのは,沖縄の「陽春」を表す方言。
 沖縄本島では3月後半が「うりずん」の季節にあたります。1,2月でも亜熱帯の沖縄では花と緑が豊富なのですが,穏やかな南風とともにさらに植物が活き活きとし,葉の量も見る見る増えてくる季節です。
 気候も植生も異なる本土と沖縄では全く同じというわけにはいきませんが,本土では新緑が次第に生長しつつある5月下旬が,沖縄の「うりずん」に最も近い状態と云われています。そのあたりのことを少し意識して鎌倉の緑を訪ね歩きました。 
 
 
前回,円覚寺を訪れたのは4月の初め。そのときは満開のソメイヨシノに飾られていた境内は,緑に包まれていました。
 今は新緑の時期をやや逸し,これから勢いよく緑が深まろうとしています。広大な境内全体が木々の生命力で満たされているようでした。
 汗ばむような陽気の中,北鎌倉から鶴岡八幡宮へと向かう沿道にも緑が満ち溢れていました。 

万緑が近い円覚寺にて

うっそうと大木が生い茂る,源頼朝公の墓所に着きました。
 ここはもう新緑というよりも深い緑に包まれた空間です。おそらく,寒い時期でも完全に木の葉がなくなることはないのでしょう。
 当日,大木の緑に守られるように佇む頼朝公の墓石のまわりには,森林浴を楽しむ人が意外とたくさん来ていました。
 大木が絡み合うように密集している分,葉の密度も高いのでしょうか。他の場所に比べても確かに森林独特の爽やかな感じが強いように思えました。

源頼朝公の墓所

鎌倉宮にて 

さらに歩いて鎌倉宮。頼朝公の墓地と違って,薄緑の若葉が多くまだ新緑の名残りが強いかなと感じました(もしかしたら陽射しのせいかもしれないですが・・・)
 ところで,昔の琉球の人々は,木々の緑が見る見る生気に満ち溢れていく様子を,“うるおいが自然の隅々まで染み渡る季節”という意味で「うりずん」と言い表したのです。標準語風の言い方に直せば,「うるおい染み」の季節となります。
 爽やかな若葉の潤いが隅々にまで行き渡っている鎌倉は,まさに,「うるおい染み」の季節そのものといった感じでした。


新緑まぶしい境内のひととき

湘南の海から暖かい南風が入り込み,五月晴れとともに次第に緑が深まっていくのを全身で実感できる春から夏への変わり目の季節というか・・・
 とにかく,陽春とも初夏とも区別がつかないような気候,そして晩春から入梅までのごくわずかな期間です。
 
 本土版うりずん(?)を満喫した,ある五月晴れの鎌倉の旅でした。
 
 6月になれば,鎌倉は,本格的な真夏に備えての長い穀雨とあじさいの時期へとシフトしていくのですね。


・・・ちょっと独りよがりかなぁ,今回は変テコなレポートですみません(^^;)