鎌倉好き集まれ!一止散人さんの鎌倉リポート・第23号(2004年11月10日)

鎌倉点描 ~大切な風景~

 《飯島あたり・材木座の晴嵐》

 晴れ渡った風の強い日は、ただ海を見にだけ出ることも。ウィンドサーフィンの動きは、折からの風に時に早くなったり、止まったり。寄せては返す力強い波のリズムに、不協和音を交えて、ずっと見てても飽きることはありません。

 

 《大佛次郎邸・路地の入口》

 黒板塀が延々と続く路地そのものも良いですが、この入口のたたずまいが好きです。
 極めてシンプルな造りの洋館と、黒壁の平屋。数十年前もきっと同じであったろう風景。買い物帰りの近所の方も、景観の一部として、何気なくもしっとりと溶け込んでいます。
 《百八やぐら》

 尾根道の天園ハイキングコースを覚園寺方面に向かい、すぐ左脇にそれるとあるこのやぐら。百八とは仏教との関係でしょうが、実際はもっと沢山あるようです。山ひとかたまりをやぐらが取り囲んだ様は圧巻。磨り減った鑿跡に、中世の人々の息づかいを想います。
《山ノ内の洋館》

 横須賀線の車窓から、黒板塀越しに見るその姿は、鎌倉に入ってきたことを実感する1シーンです。ここも、時の流れで解体されることに。
 どうしても描いておかなければという、強い気持ちに駆り立てられて作った1枚。自分の心の中に残すためにも。
 《裏駅・水道局そばのお宅》

 日本家屋に洋館を添えた造りは、昭和始めに流行した「文化住宅」と呼ばれるもののようです。
 小規模ながら、掻き落としの壁と細部のデザインの細やかさに感じる施主のこだわり。渋いベージュ色も今の季節にマッチし、緑濃い松の木と、柿の紅葉が名脇役を演じます。


 さまざまの 色を交えて 柿紅葉     一止