鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第60号(2005年7月27日)
The Dog Days
ご乗車ありがとう…とにっこり笑顔の駅員さん。
ちょっぴりはにかみながら 改札を出る。
切符を手渡しする瞬間、
いつも何だか照れくさい。
自動改札機が主流の今。
こんなドキドキ感も・・・たまには。
土用入り。
母と二人 仏花を抱えて歩く極楽寺坂。
照り付ける真夏の太陽。
たどる足元もどこか覚束無い。
そうだ、こんな日こそ。
「おいしい和食を食べて帰ろう!」
心做し 足取りが軽くなったような。
引戸を開けると
香ばしい焼魚のいい匂い。
どうぞこちらへ・・・。
案内された先は、なんとカウンター席。
眩く光る出刃に添えられた大きな手。
独り黙々と鮮魚を捌くご主人を目の前に。
史上最強 この上ない緊張感。
まずは、なめこと豆腐の味噌汁から。
夏バテ気味のお腹から きゅるきゅる~と歓びの声。
お次は小鉢。
白いトロロがふんわり。
わずかに見え隠れするマグロの角切り。
これは先頃 ご主人の手にかけられた…あの。
いよいよ、茶碗蒸し。
透き通っただし汁に ゆずの香がほんのり。
海老にぎんなん、椎茸にゆり根・・・宝捜しはまだまだ続く。
ごちそうさまでした…の帰り際
窓際テーブルに《ご予約席》の小さな立札。
ここに どんな二人が座るのかな。
暫く振りに再会する 小学校以来の幼なじみ。
交わす会話 まだほんの少しギコチナイ恋人達。
定年後 二人だけの生活が始まったばかりの夫婦。
誠心誠意のおもてなし。
ひと夏の思い出に 彩を添えて。