鎌倉好き集まれ!E.Karashimaさんの鎌倉リポート・第1号(2007年5月21日)

御霊神社のタブノキ

 長谷の御霊神社に行ってきました。鎌倉五郎影正という武士を祭神としてまつっています。後三年の役に出陣して敵の矢で右目を射抜かれ、その矢を抜こうと味方が土足で権五郎の顔に乗ったところ、「弓矢に当たって死ぬのは武士の本望だが、顔を土足で踏まれるのは武士の恥」と切りかかったといいます。人々は「なんと強い人だろう。恥を重んじる立派な武士だ」と褒めたたえ、やがてその武勇から、権五郎さまが祭神として尊敬されるようになったとか(『かまくら子ども風土記』より)。ここまで「ほまれ」を重んじる精神も、かつて日本にあったんですよね…。
 境内に、樹齢350年、高さ20mのタブノキが生えています。鎌倉市の天然記念物、かながわの名木100選に選ばれています。のびのびと境内いっぱいに枝葉を広げていて、見ているこちらの気持ちも大きくなる感じ。権五郎さまも、こんな風に悠々としていたのかな?
 タブノキを、上から見たところです。鳥居がずいぶん小さく見えますね! この木のおかげで、境内は夏も涼やかです。
 タブノキは暖帯の海岸近くの極相林を構成する代表的な木で、鎌倉でも、近年山の手入れがされなくなってきた森、鎮守の森などでよく見られます。葉は厚くつややかで、まさに照葉樹という感じがします。
 大きな木の幹は独特のこぶ(写真)が見られることが多く、私は「たんこぶ」の木と覚えました^^ 大きな木のうろは、フクロウの仲間に利用されることもあります。
 春先、枝先の赤い冬芽が大きく膨らみ、花のつぼみのように見えます。4~5月、黄緑色の小さな花をたくさんつけます。8~9月ごろ実が黒く熟し、ヒヨドリなどが食べにきます。
 権五郎神社の前を、江ノ電が通り過ぎていきます。踏み切りの向こうに見える緑の葉は、タブのものです。冬でもこの緑色の葉をモコモコと茂らせるタブノキは、鎌倉らしい森の景観をかたちづくってくれている気がします。