妙本寺で雨宿りをしていたときのこと。

　
　
　　　黄色い雨合羽を着た 幼い男の子が
　
　　　境内にやってきました。
　　
　　　お母さん、おばあちゃんも一緒です。

　
　
　
　
　　「あっ、あそこに ねこがいる」
　
　　「ほんとだね」
　　
　　　　　少年はおずおずと近寄ります。
　
　　　　　ねこは眠たそうにしています。

　
　
　
　
　　「ほぅら、これ」
　　
　　
　　　　おばあちゃんは、
　
　　　　鞄の中から財布を取り出すと
　
　　　　百円玉を一枚 少年に手渡しました。

　
　
　
　
　　「ありがと」
　
　　
　　　　　少年は百円玉を握り締め、
　　　
　　　　　ゆっくりと階段をのぼります。
　

　
　　
　　少年は、
　　
　　ねこの口元に 百円玉を差し出しました。
　
　　ねこは何ともしません。


　　次に 少年は、
　
　　ねこの膝元に 百円玉を置きました。
　
　　ねこは相変わらず にゃんとも．．．