鎌倉好き集まれ!山田海人さんの鎌倉リポート・第12号(2005年5月31日)

鎌倉沖の深海の様子は?

しんかい6500は世界一深く潜れる潜水船

 今日はちょっと志向を替えて鎌倉沖の深海へ行ってみましょ
う。
 私の本業はどちらかと言えば、深海の方が得意です。鎌倉沖
は大都市を控えた深海域のある相模湾で日本で同じような湾
は、駿河湾、富山湾しかありません。

 水深200mから深海と言いますが、これより先は”昼なお暗
い”ところです。ライトの前に見えるのは”マリンスノー”です。
プランクトンの抜け殻などが集まってぼた雪のように深海へ
降りそそいでいます。
 さらに深海へ潜って行くと、中・深層(ちゅうしんそう)とよばれる
海水だけの世界で海底も壁もなく、流れに身をまかせるクラゲやハダカ
イワシなどが泳いでいます。
 
 海底に着くと生物相がかわります。砂や岩、崖などにくっついて流れ
に乗ってくる餌を待っているもの、逆に流れに身を任せて流れの下から
さかのぼってくる遊泳力のある生き物を狙っているものなどいろいろな
生き物がいます。 このオトヒメノハナガサは後者で遊泳力のある生き
物を狙っています。

海底まで潜る前に長い長い”中深層”(ちゅうしんそう)があって
大量のクラゲ類が生活しています

海底には奇妙な形をした深海生物がいます。

 真っ暗な海底では、光(発光)を使って餌を獲るチョウチン
アンコウがいます。光がゆらゆらしていると餌だと勘違いして
近寄ってきた魚などをパク~ゥと飲み込んでしまいます。

 イトヒキイワシは流れの下の方を向いていて、流れをのぼって
くる遊泳力のある生き物を待ちかまえていて、タイミングを計って
やはりパクリと食べてしまいます。

 深海は、暗く、冷たく、高い水圧の世界ですが、地球上で最も
安定した環境です。 ですから生きた化石のシーラカンスなど
世界の深海にはまだまだ未知の生き物が隠れているのです。




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 JAMSTECの了解を得た上で、本リポートに掲載しております。