鎌倉好き集まれ!いいねぇおじさんさんの鎌倉リポート・第417号(2009年2月22日)
◇ 早春の朝比奈切通し (あさひなきりどうし)
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【十二所側峠路】
遅くなりましたが、前号 「十二所果樹園」 の梅林で梅の香を楽しんだ後、「三郎の滝」と
「朝比奈切通し」 の石碑がある所 まで引き返し, 久し振りに 「朝比奈切通し」 に向かいま
した。
三郎の滝は、切通し道を一夜にして切り開いたと云われる 「朝比奈三郎義秀」 にちなん
で付けられたとされる小さな滝です。
※ 以下の写真は2月22日撮影したものです。
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【鎌倉市側始点の三郎の滝付近】
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梅林に行く途中、三郎の滝の少し手前辺りから、以前 (2年程前の深緑の頃) 来た時とは、周りの
雰囲気が少し違うように感じていたのですが。 切通しの道へ入ると、やはり以前よりも歩き易くなっ
たような。 左山側も雑草や木々が生茂っていましたが、整備されてすっきりした感じになっていまし
たね。 以前は見えなかった「やぐら跡」なども数ヶ所確認出来ました。
此処からは、峠道の頂上付近 「大切通し」 の辺りまでは殆ど岩畳の上り坂になります。
切通し脇を流れるせせらぎは 「滑川」 の源流になりますね。 岩壁には苔やシダ類が生え、湧水も
あるので、雨後でなくても泥濘や岩盤の上は滑りやすいのでお気を付けください。
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【鎌倉市側の大切通し】
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暫く緩い坂道を上って行くと、垂直に切り立った崖が見えて来ます。 「大切通し」 ですね。
この辺りが切通し道の頂上付近のようです。 崖の下には磨崖仏が彫られています。
両側の岩壁には四角に掘削された祠?のような穴が開いています。
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【崖壁に彫られた仏像】
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【反対側崖壁の?】
「朝比奈切通し」 は、鎌倉幕府が整備した交通要路 「鎌倉七口」 のひとつで、六浦(むつら)や
房総方面への 「塩の道」 と呼ばれ、物資を運ぶ商業道路でもあったようです。
鎌倉七切通しの中では、最も往時の面影を残す道として、1969年6月に国の史跡に指定されて
いますね。
両崖の下に立つと、往時は此処が要塞で在った様にも感じられる雰囲気の場所ですね。
穴に監視員が居て、行き交う人々を監視して…何て考え過ぎかも。 この辺りは石切り場が多く
在ったそうですから、単なる石切り場の跡だったりして… ”違うか!”
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【横浜市側の小切通し】
大切通しの所には市境の石標が立っていて、後方(西)が鎌倉市、先側(東)が横浜市と記され
ています。
この辺を境にして、鎌倉市側の切岸状岩崖を 「大切通し」 横浜市側にあるものは 「小切通し」と
呼ばれています。
此処(市境)から終点(朝比奈)までは乾いた平坦な下り坂が続いています。
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【分岐点の石標】
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【杉木立の中に佇む熊野神社】
暫く行くと石標の立っている分岐点になります。 右へ行くと「熊野神社」道なりに直進すると終点
朝比奈への道です。 (写真は朝比奈側から振り返って撮ったものです。)
熊野神社にお参りして行きましょうか。 杉林の参道を進むと、5分ほどで山裾に立つ熊野神社に
着きます。
熊野神社は鎌倉の鬼門の守護神として祀られたと、入口付近の案内板に記されていました。
石段を上った境内には、市指定の 「スダジイ」 や 「大銀杏」 の老木があります。
大銀杏は枝をバッサリ切られていましたが、途中の杉林も間引きされた様で、以前来た時よりも
明るい杉林になっていました。
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【横浜市側案内板】
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【】横浜市側終点付近
本殿に参拝してから、元の分岐点まで戻り右へ折れて朝比奈に向かいます。 両側に岩が見えて
来るとそろそろ朝比奈の終点です。 頭上には高速道路の 「横浜横須賀道路」 が通っています。
その先左側には、苔生した庚申塔が並んでいます。 直ぐに大通り(環状4号)に出ます。
右へ曲がった先に鎌倉駅行きのバス停があります。 反対側バス停は京急金沢八景駅となります。
因みに、お気づきだとは思いますが、鎌倉市側の標識は 「朝比奈(あさひな)切通し」 横浜市側は
「朝夷奈(あさいな)切通し」 となっていますね。
峠道も整備され、以前来た時よりも歩き易かったのですが、 鬱蒼としていた頃の 「朝比奈切通し」
の方が趣があったようにも思えたおじさんではありました。
おしまい