鎌倉好き集まれ!一止散人さんの鎌倉リポート・第26号(2005年11月13日)

景色の先の景色

10月12日 小坂小学校前

 免許更新の帰り道、そのまま足を伸ばして北鎌倉へ。

 街道沿いのプラタナスは、一本だけ黄葉して、焦り気味に秋の到来を知らせていた。
 黄に、黄を重ね、複雑に影を落としながら、かつ透明感を失わないステンドグラスのように。その後ろに控える、紺碧の空。

 天高し、。












山の緑は、まだ色濃かった。

浄智寺総門から鎌倉街道に向かえば、並木に縁取られた六国見山。


三次元の贅沢な額縁。















10月12日 浄智寺総門より

10月31日 江ノ電車窓(鎌倉高校あたり)

 江ノ電は、走る美術館。
 たくさんの額縁を抱え、景色の中を走り抜ける。

 運がよければ、一瞬の光景を独り占め。このときも、目の前に座っていた人が降り、額縁の前が開けた。少し曇ったガラスの向こうに、静けさを取り戻した水平線。青とモノトーンの、優しい世界。

 わずかに空いた窓のすき間から、潮の香がフッ、と。
 
 、、穏やかな午後、。









石段の脇に、ひっそりと。

岩壁の土色に、ほんのり華やぎ。


 <秋海棠揺れて 主人の気配あり>  

















10月12日 亀ヶ谷切通し

11月9日 材木座あたり

 路地の先に見える海は、なんと哀愁ただようものか。

 少しばかり傾いた日に、水平線は輝きを増し、視線の最奥に一点の光を灯す。
 その輝きと一直線上に伸びた、路地へと差し込む光の道。

 強烈なコントラストが美しく、そして哀しい。