鎌倉好き集まれ!十六夜さんの鎌倉リポート・第63号(2010年11月30日)
鎌倉文学散歩
円覚寺 仏日庵と文人
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仏日庵
妙香池の前を通りすぎ石段を登り、さらに道をあがっていくと、左側に仏日庵の山門があります。塔頭となったのは室町時代で、現在は開基廟に時宗、貞時、高時の各法体木造像をまつり、北条歴代の位牌も安置しています。
境内には茶室烟足軒があり茶会が盛んです。仏日庵はその歴史や慶大の素晴らしさなどにひかれて、多くの文人が訪れています。そして作品の中に仏日庵や茶会の様子を描いていますので、大佛次郎の「帰郷」と川端康成の「千羽鶴」を紹介してみましょう。
さやさやと、竹の葉が鳴っていた。土塀に沿って昇って行って、ふいと、門が現れたと思うと逆光で、その内部の小さい庭の、ぱっと目に明るいのが見えた。時宗の廟のある仏日庵がこれである。
境内には茶室烟足軒があり茶会が盛んです。仏日庵はその歴史や慶大の素晴らしさなどにひかれて、多くの文人が訪れています。そして作品の中に仏日庵や茶会の様子を描いていますので、大佛次郎の「帰郷」と川端康成の「千羽鶴」を紹介してみましょう。
さやさやと、竹の葉が鳴っていた。土塀に沿って昇って行って、ふいと、門が現れたと思うと逆光で、その内部の小さい庭の、ぱっと目に明るいのが見えた。時宗の廟のある仏日庵がこれである。
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茶室 烟足軒
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ミツマタ 冬を越す姿
川端康成は鎌倉に昭和十年(1935)から住み、浄明寺、二階堂と移り、昭和二十一年から長谷に住みました。久米正雄、高見順らと貸本屋鎌倉文庫を開くなど鎌倉文士の中心となって活躍し、昭和四十四年には鎌倉市名誉市民となりました。
小説「千羽鶴」は昭和二十四年五月に発表され、昭和二十七年に筑摩書房から出版され、芸術院賞を受賞します。まず最初に仏日庵での茶会の様子が描かれています。「鎌倉文学散歩」より
鎌倉円覚寺鎌倉円覚寺の境内にはいってからも、菊治は茶会に行こうか行くまいかと迷っていた。時間にはおくれていた。
円覚寺の奥の茶室で、栗本ちか子の会があるたびに、菊治は案内を受けていたが、父の死後一度も来たことはなかった。
亡父への義理の案内に過ぎまいと見捨てていた。ところが今度の案内状には、弟子の一人の令嬢を見てほしいと書き添えてあった。
小説「千羽鶴」は昭和二十四年五月に発表され、昭和二十七年に筑摩書房から出版され、芸術院賞を受賞します。まず最初に仏日庵での茶会の様子が描かれています。「鎌倉文学散歩」より
鎌倉円覚寺鎌倉円覚寺の境内にはいってからも、菊治は茶会に行こうか行くまいかと迷っていた。時間にはおくれていた。
円覚寺の奥の茶室で、栗本ちか子の会があるたびに、菊治は案内を受けていたが、父の死後一度も来たことはなかった。
亡父への義理の案内に過ぎまいと見捨てていた。ところが今度の案内状には、弟子の一人の令嬢を見てほしいと書き添えてあった。
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境内より仏日庵を見る
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参道より
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山門脇より 平成22年11月30日午後撮影