鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第2号(2004年4月27日)

My favorite spots

煙草屋さん

西御門(頼朝墓付近)にある煙草屋さん。
お店の前の赤い郵便ポストが可愛らしい。

晩秋の頃、
この界隈を自転車を走らせ
小さな公園へ向かう。
滑り台にブランコといった何の変哲のない公園。
ほぼ中央、古い大きな銀杏の木が1本どっしりと立っている。
むしろ「鎮座している」という形容が相応しい。
これまでの全ての行いを見てきたといわんばかりの風格。
まるでこの公園の主のようである。
幹の色や枝ぶり,葉のつき方からして、
かなりの古木という貫禄、独特の趣がある。
根元からも伸びる幾本もの細い枝、
そこにも金色の葉をつける様相は
みなぎる力強い生命を表す。

落葉樹はみな、その葉が落ちるともう冬芽が顔を出している。
その落葉が腐葉土となる頃、新芽は緑葉となっていく。
この生態循環こそ、生命のあらわれ。

夕暮れの公園。ブランコの揺れる音。焼き魚の匂い。
鎌倉 秋の印象。
御霊神社境内。
カンカンと踏切の音がする。
鎌倉行きの江ノ電が近づいてきた。
木々の梢が風にそよぐ。
木漏れ日がちらちらと
地面に映る影と遊ぶ。

こんなにも優しい踏切の音ってあったかな?
線路脇の桜の花びらが風に舞い散る。
陽だまりのなか、行く春を惜しむように
裏山の鶯が鳴く。

海まであともう少し、歩いていこう。

線路は続く

RONDINO

鎌倉西口駅(通称裏駅)
御成町商店街に入りすぐ左手にあるCafe-RONDINO-。

やっと鎌倉駅に到着。
散策前にちょっとひといき落ち着いてのんびりしたい。
そんなとき美味しいCoffeeがあったなら・・・。
陽光眩しい昼下がり、
香り高いCoffeeをゆっくりと味わうにもってこいのCafe。

深いこげ茶の木目調の壁。
壁にはセピア色の絵画。
窓辺越しに見える商店街を行き交う人々。
カウンターではサイフォンがコポコポ・・・・。
隣の席では、初老のご婦人が、
ひとり静かに旅の絵手紙を描いている。

何を隠そう
スターバックスコーヒー鎌倉店で仕事をしていたときも
(店長にナイショで)ここに通ってました(笑)。

数種のCoffee beansのうち
とりわけ「German Roast」がオススメ。
また、
Hamburgをオーダーすると、マスターに
焼き方はどういたしましょ?と聞かれますので
「ミディアム レアでお願いします」と答えましょう。
以後、常連となることうけあいです。

最後のお会計時には、
さりげなくレジをのぞいてみてください。
とってもレトロでアンティークなResisterがあります。
開閉時の音も、とてもclassicalです。
御成町商店街にあるお風呂屋さん「滝の湯」。

♪貴方は もう忘れたかしら
 赤い手拭い マフラーにして
 二人で行った 横丁の風呂屋
 一緒に出ようねって 言ったのに
 ・・・・♪
(喜多条忠作詞・南こうせつ作曲「神田川」)

鎌倉に住み始めて早々に、この銭湯を知ってからというもの、
夜な夜な幾度となく通い詰める、奇特な30代2人組。

この銭湯をきりもりしているのは、元気で明るいおかあさん。
いつも入口の番台に座って、正面上部に設置のTVを見ながら、
石鹸ある?湯加減どお?などといろいろ面倒をみてくれる。
脱衣所の木製ロッカーには、
常設と思われる洗面器やら手ぬぐいが
ぎゅうぎゅうに詰まっていたりする。
古の武家屋敷にありそうな薄暗い東司、
ひとりで入るには勇気がいる。

 「じゃあ1時間後に。」
 ガラガラとそれぞれ別々の入口扉を開けて中へ。
 番台をはさんでまた顔を合わせる2人。
 「お会計、お連れさんから頂戴しましたぁ~」
 番台のおかあさんがにこにこして言う。

 「ヤワラちゃん、すごいよねぇ 若いのに、しっかりしてるよ。」
 「いまの政治ってのはとにかく厄介だね。私利私欲ばかりが蔓延してる。」
 「あらあなた、人間てのは、お金よりも身体。
  丈夫は宝、健康でいるってのが、一番の幸せですからね。大事にしなさいよ。」

 おかあさんとお客さんとの会話が、脱衣所いっぱいに響きわたる。
 ふむふむと時折会話に相槌をうちつつ、浴槽にドボン!
 湯の温度は少し熱め、色は茶褐色、強烈な薬草の香り。
 壁には富士山と満開の桜の木ある山村風景。
 気持ちいい~まさにごくらくじゃー。

 銭湯を去るとき、「神田川」の歌詞のような寒~い思いをすることなく
 ふたり同時に出口扉へ向かい再開することができる。それはなぜか?
 その秘訣は、おかあさんのアナウンス。
 着替え終了、瓶の牛乳をゴクリと飲み干した後、
 おかあさんの第一声。
 「○○さーん、いらっしゃいます?お連れの方がお待ちで~す。」
 ちょっと恥ずかしいけれど、
 心のこもった嬉しいサービスである。

銭湯

由比ガ浜の夕暮れ

夕凪の情景。

葉祥明さん(画家)の海の絵には、
canvas一面に穏やかな蒼い海が広がる。

薄く細く澄んだ水平線がまっすぐに伸び、
無限に広がる空との境界をしっかりと意識づける。

花火大会の喧騒も
ビーチパラソルと海の家の立ち並ぶ光景も
春の海辺にはない。

トンビが悠々と旋回。
今日最後の風と戯れる。

明日も晴れますように。