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JUNEさんの鎌倉リポート No.229(2007年10月7日) |

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夏 僕は卓子の上に、 ペンとインキと原稿用紙のほかなんにも載せないで 毎日々々、いつまでもジッとしていた。 いや、そのほかにマッチと煙草と、 吸取紙くらいは載っかっていた。 いや、時とするとビールを持って来て 飲んでいることもあった。
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戸外では蝉がミンミン鳴いた。 風は岩にあたって、ひんやりしたのがよく吹き込んだ。 思いなく、日なく月なく時は過ぎ、 とある朝、僕は死んでいた。 卓子に載っかっていたわずかの品は、 やがて女中によって瞬く間に片附けられた。 ―――― さっぱりとした。さっぱりとした。
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海の見える芝生の庭で 一編の詩を 声に出して読みました。 風がサァーッと吹いて 一羽の鳶が 茜空に消えてゆきました。
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今年は 中原中也 生誕100年。没後70年。 そして10月22日は 中原中也の命日です。
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「中原中也 詩に生きて」 鎌倉文学館にて 2007年12月16日(日)まで
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