鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第58号(2005年7月22日)
Your dream is my hope.
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プチパン乗せて Alceste号、出発進行!
鎌倉は扇ガ谷に
ちょいとクセのある場所がある。
ケーキがメインのパン屋さん 《Alceste》。
手巻きオルゴール…マッチ箱のミニチュア…
エキゾチックな鳥獣画…怪しき微笑の肖像写真…
バッテリーがあがって動かなくなった鉄道模型…
広大な作業台は、まるでオモチャ箱。
ここはいったい…。
カランコロンと呼び鈴を鳴らし、扉を開けると、
ガラスショーケースの奥から
名探偵《ポアロ》似のマスターが、ひょいっと顔を出す。
窓際のテーブルにつき、
本日お薦めのケーキをいただく。
しっとり濃厚なマロンクリーム。
次第にラム酒が効いてきて…ついウトウト…。
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モンブラン 小ぶりの割には…。
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Post cards by SUMI AZUMA お土産にどうぞ。
両翼の生えたMoon Birdが、クラゲのように宙を舞う。
渦巻く潮流に、虹色の人魚とワルツを踊るスレンダーな黒猫。
やがて向こうから、
轟々と黒煙を巻き上げて、巨大な機関車が近づいてくる。
ふいに誰かが耳元で囁く。
《あなたのゆめはわたしのゆめそしてきぼう》
朦朧の意識の中で。
蓮の花咲く瞬間の音を、聞いたことあるかい?
マスターの声で目を覚ます。
ポンって音がするらしいけど。嘘か真か。
午前3時。
小型のICレコーダーを手に、
源平池畔に佇む ちょび髭のマスターを思い浮べた途端、
うふふ、なんだか無性に可笑しくなった。
ほら、「シンシンと雪が降る」って言うでしょ?
あれもね、研ぎ澄まされた感性というか…。
クリクリとよく動く瞳。弾むお喋りは止処もなく。
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The Wooden Doll 灰色の脳細胞を持つ。
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そばの実サブレ …ちょいとクセになる。
店の外へ出ると、もうすっかり日は落ちて。
寿福寺へと歩き出すと、後方でおーいと声がする。
「コレ、道中にでも、食べなさいね」
手渡された《そばの実サブレ》。
蜩の夕暮れ。
夏木立の参道に、サクサクッと優しい音が響いた。