
 居士林(撮影;2006.12.08)
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「山門を入ると、左右には大きな杉があつて、高く空を遮つているために、 路が急に暗くなつた。其陰気な空気に触れた時、宗助は世の中と寺の中と の区別を急に覚った。静かな境内の入口に立った彼は、始めて風邪を意識 する場合に似た一種の寒気を催した。」 (夏目漱石 門の一節より) 前号に続くが・・・ 改めてこの一節を読み返し情景を思い浮かべてみると「総門」の方がやはり この小説の舞台に相応しい気がする。
総門、三門、本堂と一列に並んだ禅宗特有の伽藍を過ぎ左手にそれると 「選仏場」「居士林」らの座禅堂が並んでいる。(画像は、居士林) 選仏場には、運慶派仏師による薬師如来像が安置されておりますが、私の 好きな仏像のひとつです。仏殿の宝冠釈迦如来坐像も大きくて迫力があり ますが、こちらの薬師如来像は厳しい顔つきと鋭い目で思わずゾクっとして しまいますね。 在家修行者の事を居士(こじ)と呼び、居士林はそのための座禅場の事です。 学生座禅会や一般参加の土日座禅会が開かれており一度は・・・と思いつつも なかなか踏ん切りがつかずにいる凡人でございます。
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