鎌倉好き集まれ!ISM-ingさんの鎌倉リポート・第2号(2003年10月6日)

古都の大茶会

厳粛な山門も金襴の衣装でおめかし

晴天に恵まれた10月5日(日)、北鎌倉の古刹 建長寺では「創建
750年慶讃大法会」の一環として、武者小路千家による大茶会が
開かれ、一幅の華やかな絵巻が繰り広げられました。
普段は質実剛健な古武士のごとき山門も今日ばかりは色鮮やかな
五色の幔幕を纏っておめかし。その幔幕が爽やかな秋風にそよぐ
姿もまた、古都鎌倉にふさわしい醍醐味を感じさせてくれます。
献茶会の舞台となる法堂(はっとう)には朝から美しい和服姿の
女性がつめかけ、金襴の袈裟をまとった僧侶も行き来して寺全体
が一種華やいだ雰囲気に包まれています。
法堂わきの同契院の庭には一般の参拝者向けに茶席が設けられて
一服するのに好都合。どうやら「鳩サ○レー」で有名な和菓子屋
さんがひと肌脱いでいるようで、ハッピ姿の店員の娘さんがお茶
やお菓子(可愛らしい鳩形と金平糖形の2種類の落雁)を無料で
ふるまってくれます。ただしお茶、と言っても紙コップ+粉末+
お湯、というシンプルなものですが、贅沢言ってはいけません。
無料なんスから・・・。お茶は昆布茶/赤紫蘇/玄米から好きな
ものをチョイスする形式でした。ほがらかな陽気のもと、芝生の
庭でのティータイムはちょっとトクした気分です。ちなみに鳩形
の落雁は「小鳩豆楽」といって最近ひそかな人気とやら・・・

一般の参詣者にもお茶がふるまわれる

国宝の鐘の音を合図に導師が登場

午前10時30分、唐突に国宝の鐘が鳴り出しました。1255年鋳造
の名鐘の誉れ高い鐘ですが、正直言ってその音を聴いたのはこれ
が初めて。腹に染みわたるなんとも良い音です。そしてこの鐘の
音を合図に鐘楼わきの崇山門(すうざんもん)から本日のお茶会
の導師を勤める高僧らしきお坊様が一列縦隊で登場します。
鐘はなおも鳴り続けます。が、よく聴くと寺のあちらこちらから
呼応するようにいくつもの鐘の音が聞こえてきます。音が同時に
重ならぬよう、慎重に順番を決めて鳴らしていたのです。建長寺
全体がひとつの楽器となり、中世の楽曲を奏でていたのです。
これはお寺としてはあまり宣伝して欲しくなさそうだったので、
小さな声で言いますが、この日は拝観料が〈無料でした。〉
理由は、お茶会のため一部の施設の拝観が制限されるためだそう
です。確かに法堂は仏殿と繋げて巨大なお茶会の会場となり普段
のような正面からの参拝は不可能でした。しかし仏殿の正面扉は
フル・オープン状態。サイドの扉も開いていて内陣には色鮮やか
な幔幕が張り巡らされ、普段は味わえない華やかな建長寺の姿を
堪能できました。

幔幕が張られた仏殿内部

総門脇に掲示された慶讃大法会スケジュール

建長寺の「創建750年慶讃大法会」は11月の末まで、様々な法会
が行われる予定です。お茶会も10月24日(金)裏千家、11月
5日(水)宗偏流、11月24日(祝)表千家というスケジュールで
開かれます。ただし、以下の点にご注意を!この法会・お茶会の
時には必ず拝観料が無料になるかと言えばそうではなく、今回の
ような一般参拝者のための茶席も次回のお茶会で設けられるのか
どうかは保証の限りではありません。しかし、これは750年ぶり
のお祭り。滅多に味わうことができない「晴れ着」の古寺の姿を
垣間見ることができることでしょう。

と、いうわけで第2号レポートはおしまいです。
おつきあいいただき、ありがとうございました。