鎌倉好き集まれ!一止散人さんの鎌倉リポート・第10号(2003年2月14日)

たてもの点描

ちゃんとこっちを向いてる、、。

 幼稚園生の頃お世話になった、御成通りの安保小児科。今は(財)鎌倉風致保存会の事務所になっています。
 半年ほど前、ふと懐かしくなり行ってみました。子供の時見た大きさと全然違う、こじんまりした待合室に、20年の歳月の流れを実感、、。
 これは診察室の照明。リアルな鶴の漆喰細工が見事です。待合室の天井にも兎と人参を象った漆喰細工があり、こんなものがあったのか、と驚かされました。もっとも、まだ小さかったし、風邪を引いて虚ろな状態だったしで、受付で体温計をもらった記憶ぐらいしかありません(^^ゞ
 関東大震災直後、地震で倒れないよう長谷の棟梁が建てたものだそうで、こんな気の利いた意匠にも、昔の人の心意気を感じます。 
 
 照明でもう1つ。こちらは川喜多邸の廊下の電灯。行灯のような形に、蔦を絡ませたデザインがモダンな印象です。
 若宮大路、八幡様寄りの蕎麦屋「繁茂」。中華料理「鎌倉飯店」と半々に使い分けている、鎌倉では少ない銅版張りの建物です。藤の花のレリーフと麻の葉模様がとてもシャレた、雰囲気のある看板建築で、段葛から全体が良く見えます。この間の散歩では描いただけでしたが、近いうちに是非評判の蕎麦を食べたいと、意気込んでいます(^v^)
 電車道に面した、腰越の星野写真館。丸窓とキレイなステンドグラスの組み合わせ、、竣工当時から、きっと目立ったことでしょう。表の凝り方とは対照的に、裏は木造の簡素な造りで、そのコントラストもなかなか面白い建物だと思います。
 ここの前を旧型の江ノ電が通過する瞬間、鎌倉の中でも大好きシーンです。急に時代が逆戻りしたような錯覚がして、、。
 以前材木座を歩いていたとき、偶然見つけた洋館です。その日は快晴で、青空に突き出たとんがり屋根が、凛としたものを感じさせました。周りに同時代の建物はなく、潮風に吹かれ、耐え抜いた孤高な印象が今でも強く残っています。