鎌倉好き集まれ!一止散人さんの鎌倉リポート・第19号(2003年11月5日)

鎌倉八景今昔 其の二

鎌倉八景の第二弾 比企の暮雪です。

句は ◎比企の雪 杉間を洩るゝ 燈哉     湘 海
   ◎杉古りて 雪に暮れゆく 比企ヶ谷   糸 月

 石段以外は土がむき出しの参道。余分なものが何もない境内。
惜しむらくは、「暮雪」なのに雪景色じゃないのがちょっと、、。
しかし、雪が降ればベストマッチの、静寂な風景です。
 こちらが今の妙本寺。石段以外のところが舗装され、写真右側の大きな杉が立っている所辺りに、標識が立っています。どれがどの木かと、写真と見比べて見ましたが、さっぱり分かりません。戦後長い間で、木も世代交代をしたのでしょう。緑濃いたたずまいは、ほとんど変わってないなと思いました。
 比企ヶ谷から岐れ道あたりまでは、変化する滑川の流れを見比べながら歩くのが楽しみ。夷堂橋・琴弾橋・東勝寺橋・宝戒寺橋と下流から上流にかけて橋が掛かっていますが、中でも一番好きなのが、東勝寺橋から下流を望む、この風景。宝戒寺橋近くの広い川幅がここで一時的に狭まって急な流れになり、むき出しになった川面の岩にぶつかりながら、キラキラ光ります。曲線の多い滑川もここでは直線になって、遠くの方まで見通せます。
 雨の後の晴れた日に眺めると、水量がまして水音が一段と爽やか。マイナスイオンを実感できますよ。
 小町大路から滑川に向かって、何本か路地が伸びていて、その多くは川の手前で行き止まりになっています。迷いこんだように入ってみると、進むごとに車の音が小さくなって、最後は消えてしまう、、。この辺りのお宅は生垣がほんとに多い。きっとそれが天然の防音壁になっているのでしょう。 
 車道から少し入っても、静けさや緑の濃さを実感できる。鎌倉は人の営みと自然との距離が近い街だと思います。

こんな何気ない路地に惹かれる。