鎌倉好き集まれ!一止散人さんの鎌倉リポート・第20号(2003年12月9日)

初冬の浄明寺・巡礼古道

 初冬の浄明寺を、ノンビリとそぞろ歩き。

 色とりどりの葉に包まれ、山と完全に溶け合っていた華頂宮邸。人も通らず、白昼なのに夢のような空間でした。
 華頂宮邸から伸びる道は、緩やかな上り坂。その右手を、落ち葉を含んだせせらぎが、しぶきを飛ばしながら流れていきます。水音と風の音とがBGMになって、足取りも軽快です。 
 
 ハイランドの住宅街に抜ける道が通行止めとなっていたので、来た道を報国寺まで引き返し、尾根道の巡礼古道を目指しました。
 
 巡礼古道は、坂東三十三ヶ所観音霊場巡りで、一番札所の杉本寺から、二番札所の岩殿寺へと通じる道の名残だそうです。途中には、板碑のような無数の庚申塔や、古びた摩崖仏があって、昔の人の信仰の姿を偲ぶことが出来ます。
 この道標「奉納百八十八番・くわん音道」の側面には、安永7年(1778)の年号があります。穏やかに、道行く人を見守っている感じを受けました。
 巡礼古道の途中での一枚。磨り減った石段の右手は、岩盤が垂直に切り取られて、ミニ切通しの趣き。鋸の歯のような跡があったので、ひょっとしたらこの石段も、ここから切り出されたのかも、、。こういう道は、先に何があるんだろう、、という未知の期待感があって好きです。
 巡礼古道の道端には、何故か1メートル位の長方形に組まれた石が、数十メートル置きに残っています。灯篭の礎石? 今では木の葉が溜まり、見る影がないですが、何だったのでしょう、、。
 そんな疑問も手伝って、昔の世界に誘ってくれる道です。