鎌倉好き集まれ!十六夜さんの鎌倉リポート・第82号(2011年8月28日)

:建長寺唐門は元々・・・

建長寺唐門修理が完了しました

建長寺唐門は元々徳川幕府第二代将軍徳川秀忠公の正室崇源院(すうげんいん)の霊を祀る霊屋の門として、寛永五年(1628)に東京芝の増上寺に建てられました。崇源院は戦国大名浅井長政の娘でお江・於江与などと称しました。母は織田信長の妹、お市の方で現在NHKの大河ドラマでその生涯が伝えられています。
この霊屋等は崇源院の死後二十年を経て造替がくわだてられ、正保四年(1647)建長寺がゆずりうけました。その霊屋は現在の建長寺仏殿であり、その時に一緒に西来庵中門(非公開)と建長寺唐門も移築されました。
建長寺の唐門は方丈(龍王殿)の正門となっており、勅使門ともいいます。桃山風向唐破風の典型的な漆塗りの四脚門で、細部の彫刻装飾はすばらしく、透彫金具などが各所に使用され、仏殿の装飾技法と良く似ています。
明治期頃には屋根は杮葺であったものを銅版葺に改めています。大正十一年に重要文化財の指定を受けましたが、大正十二年には関東大震災の被害を受けて翌年に解体修理が行われました。
ちなみに唐門とは屋根が唐破風(からはふ)になっている門のことで中国式の門という意味ではありません。
近年は劣化が激しく、この度文化庁と鎌倉市の補助金を受けて保存修理事業として大修理をおこなうことになりました。平成二十一年よりその工事にかかっておりまして、平成二十三年五月に完成し、五月三十日には完成の落慶法要も行われました。
唐門の威容は非常に素晴らしいものでございます。どうぞ皆様ご覧いただきたいと思いますので、是非建長寺にお参り下さい。建長寺たより第54号より