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JUNEさんの鎌倉リポート No.12(2004年7月10日) |

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The background of the art
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 古陶美術館
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先頃、写真教室のセンセイが、 「ここは好いよ」とあまりに強く推薦するので、 興味津々初めて訪れてみた。
美術館長のお話によると、 上物は、福井県にあった江戸時代より続く古民家を そっくりそのまま鎌倉に移設してきたとのこと。 内装の梁や柱に使用の木材は、 廃屋となった鎌倉の民家から譲り受けたもの。
煤焼けした天井梁に残る凹凸の杭跡。 ミシミシと音を鳴らして二階へと続く階段。 黒光りした手摺りと古風な磨硝子との調和。
英国も顔負けのDIY精神が ここにもしっかりと息づいている。
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常設は古瀬戸の壺や水注などの陶磁器が主であるが、 ちょうど「おひなさまと節句人形」の特別展 (〜2004/7/11)が開かれていた。
立雛は、雛人形の最も古い形式で、 厄祓いの「形代」と「ひいな遊び」とが結びついたもの。 もとは紙で作られ、「流し雛」とされたもので 「紙雛」とも呼ばれている。 烏帽子に小袖・袴の男雛、小袖に細帯の女雛の素朴な姿は 室町時代の風俗をうつす。
身体の弱い我が子の健康を祈り、流し雛に願いを託す親心。 今もなお、信州松本地方で受け継がれているという。
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 立雛
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 元禄雛
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江戸時代までの節句人形は、 雛壇に向かって右側にお内裏様が鎮座していた。
昭和に入り、 日本が経済成長期の時代を突き進むなか 欧米に追いつけ追い越せの風潮を反映しつつ、 雛飾りにも欧米様式の波が押し寄せた。 これが、現在の並び(向かって左側にお内裏様) となった所以である。
たかが雛人形と言えども、 その奥には深い歴史の重みがある。
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お内裏様とお雛様より一段下って 三人官女が並んでいる。 なんと、両側二人の女官は未婚者、 中央の女官は既婚者であるという。
なるほど、よく見ると お神酒を手にした両端の女官達は振袖姿、 中央ただ1人、留袖を着た女官は、 式次第の一切を取り仕切るというしっかり者。 宮仕えにも、各人立場に准じた役割分担があった。
それにしても、 ミニチュアとはいえ 一同見事に勢揃い。 頬染めて ほろ酔い気分で 宴たけなわ。
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 節句人形
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 源平ツリフネソウ
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美術館の中庭で、偶然見つけた野の花。 サヤエンドウの花にどこか似ている趣。 決して目立たないけれど、 薄いピンクと白のコントラストが涼を誘う。
入り口軒先では、 風鈴が1つ、チリンチリンと風に揺られ 清らかな音をたてていた。
もうじき この庭にも 蝉時雨。
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