寒露の候、一年ぶりの再会を心待ちにしていた。 買ったばかりの赤い自転車。ペダルをこぐ足取りも軽い。 瑞泉寺山門を入り、客殿脇に目を遣ると、あ〜っ、咲いてる! うっすらと小さな白い花々が、ちらほらと雪のように。 近寄って、古木を仰ぐ。 白い秋空に溶け入りそうな可憐な花びら。 未だ5分咲きだけれど、少し元気がないみたい・・とその瞬間、 「無事に・・・治るといいですね」 すぐ傍に、幹に手を触れ樹皮を撫でている男性がひとり。 眼鏡の奥、視線の先には目新しい立て看板が。 「虫害にやられました…(後略)山主」
なるほど、惜しくも上部の幹は切り落とされ、 残された幹の周りに、ガッチリと括り付けられた添え木。 その根元には栄養剤が注入され、如何にも痛々しげなその全容。 しかし樹齢300年の歴史は堅い。あの水戸黄門様だってきっと…。 再び、元気な枝葉の伸長を願って。
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 冬桜
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