鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第49号(2005年4月25日)
The remains
今年は見逃しちゃったなぁ…
と半ば諦めていた。
しかし駄目で元々 来てみるもの。
本堂傍に、儚く宙に舞う糸桜を見た。
霞の末、
楓の緑葉に肩を寄せ、
花の憐れを残り香に宿し---
古の人々は、
山野にひっそりと咲く枝垂桜には、
神霊が宿ると信じていた。
のちに、
人里の霊場である寺社に移植され、
全国各地に広まっていった。
ほんの偶に、
今 この瞬間の、
空気,感情までも写真に残せたら…
と思うときがある。
ここでは、花は、
ただ花のなかへ私を解き放つのだ
ここには花しかない
(『西行花伝』より)
本堂から木魚の音が聞こえる。
日溜りのベンチ。
どこからともなく現れた猫。
白砂利にごろんと横になり、
体躯を「く」の字に曲げて、
手足を揃えてぐ~んとのびをして、
最後に小さな欠伸を一つ。
俳人の久保田万太郎は、
この瑞泉寺をたいそう気に入って、
しばしば訪れては、
自分の庭のように親しんだとか。
いつぬれし松の根方ぞ春しぐれ(万)