トップ鎌倉好き集まれ!JUNEさんトップ 第50号 


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JUNEさんの鎌倉リポート No.50(2005年4月27日)



No.49
No.51



In the last year



滝乃湯
 
 
 幾たび、
 この硝子戸をガラガラと開けて、
 「いらっしゃい」の呼び声を聞いたろう。
 
 「今日の番台は、おじさんかな?おばさんかな?」
 
 絵心くすぐる暖簾をくぐり、
 磨硝子窓に映った人影を想像するのが楽しみだった。


 
 
 薬草の香り漂う褐色の湯につかりながら、
 のどかな山里の田園風景を、
 ぼんやり眺めているのが好きだった。
 
 頬っぺはほんのりさくら色。
 頭上、間仕切りを越えて湯煙がふわり〜。
 ふと、お隣 男湯の絵が無性に気になってくる。
 一度でいいから見てみたい。
 やっぱり、ほっと心安らぐ風景なんだろうな…きっと。



ペンキ絵



懐旧
 脱衣所正面 見上げる位置に小型のテレビが1台。
 
 ある夕方、プロ野球は延長戦へ。 
 男性脱衣所から「ウォォ〜ッ!」という雄叫びが、
 
 またある夜には、懐メロ特番。
 空っぽの牛乳瓶をマイク代わりに、
 然も気持ちよさそうに口ずさむ寂声を耳にした。
 
 そして閉店間際は、しっとりとニュース放送。
 幼児虐待のTopicsに、
 
 「哀れだねぇ。子供を欲しがってる夫婦だっているのにさ」
 「ホントだよ。そんなに嫌なら、生まなきゃいいのに…」
 
 常連さんの、こんな辛口の会話も好きだった。
 

 
   
 あれはいつのことだったか。
  
 脱衣所の片隅、
 小さな椅子の上にポツリと置かれたノートと鉛筆。
 
 あれから4年が経ち、
 とうとう今年、営業継続は最後の1年となった。
 
 その署名の数は、3625名。
 「いついつまでも」の切なる願いは…。


切望



湯気の向こうに
  
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  感慨無量ですが、
  残りの日々を、感謝を忘れずに、
  大切に営みたいと存じます。
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 さりげなく壁に貼られた1枚のお知らせ。
 
 そう、
 いつだってここには、
 あたたかい「まなざし」と「ぬくもり」があった。



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