鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第5号(2004年5月21日)
In a childhood
浄光明寺の本堂。
いつもひっそりしている。
ここではほとんど人影を見ない。
ふと小町通りの喧騒を想う。
それに比べ
ここはいったいどこであろうかと。
鐘楼の脇、
泰山木の葉がざざざと風に揺れる。
いつもひっそりしている。
ここではほとんど人影を見ない。
ふと小町通りの喧騒を想う。
それに比べ
ここはいったいどこであろうかと。
鐘楼の脇、
泰山木の葉がざざざと風に揺れる。
----と、
毬栗頭の少年とそのお母さんがやってきた。
「ほら、あれみてごらん、あの白い花」
木のてっぺんを指差すお母さん。
「でっかい花だね、なんていう木?」
ほんと、少年の額より大きそう。
「あれはタイサンボクって木よ」
「へぇ-?トーヘンボク?」
「うわーい、トーヘンボーク、トーヘンボーク」
すっかり言葉のツボにはまった少年、
何度も何度も繰り返す。
・・・困った顔のお母さん。
静かな境内に夕暮れの闇が包み込む。
さぁて、そろそろ帰ろうか。
毬栗頭の少年とそのお母さんがやってきた。
「ほら、あれみてごらん、あの白い花」
木のてっぺんを指差すお母さん。
「でっかい花だね、なんていう木?」
ほんと、少年の額より大きそう。
「あれはタイサンボクって木よ」
「へぇ-?トーヘンボク?」
「うわーい、トーヘンボーク、トーヘンボーク」
すっかり言葉のツボにはまった少年、
何度も何度も繰り返す。
・・・困った顔のお母さん。
静かな境内に夕暮れの闇が包み込む。
さぁて、そろそろ帰ろうか。
小雨が降り出した。
石段を登り門前に立つ。
赤い和傘がひときわ目をひく。
客殿へと続く参道脇
スコップを手にした住職が、
ひとり黙々と花壇の手入れをしている。
石段を登り門前に立つ。
赤い和傘がひときわ目をひく。
客殿へと続く参道脇
スコップを手にした住職が、
ひとり黙々と花壇の手入れをしている。
----と、
おさげの少女とそのお父さんがやってきた。
「ねぇねぇお父さん、ふわふわしてるよ、これ」
「どれ、あぁこれね。京鹿の子っていう花だよ」
ちょっと得意げなお父さん。
「これ、よくお弁当に入ってるやつだよね。」
えっ?これって食べられたっけ。
「それは桜田麩(さくらでんぶ)だろ」
すかさずつっこむお父さん。
「ほらね、ピンクちゃんだ、ピンクちゃんだ」
どうやら少女にとって
「ピンクちゃん」は
桜田麩の愛称らしい。
きっと大好物なんだろうな。
明日のお弁当、楽しみだね。
おさげの少女とそのお父さんがやってきた。
「ねぇねぇお父さん、ふわふわしてるよ、これ」
「どれ、あぁこれね。京鹿の子っていう花だよ」
ちょっと得意げなお父さん。
「これ、よくお弁当に入ってるやつだよね。」
えっ?これって食べられたっけ。
「それは桜田麩(さくらでんぶ)だろ」
すかさずつっこむお父さん。
「ほらね、ピンクちゃんだ、ピンクちゃんだ」
どうやら少女にとって
「ピンクちゃん」は
桜田麩の愛称らしい。
きっと大好物なんだろうな。
明日のお弁当、楽しみだね。
ついこのあいだ、歩けるようになったばかり。
ちょっと頭が重くてつらいけど、
手招きするお父さんの方へヨチヨチと一心に走り出す。
その背後で、
「転ばないかしら・・・」とハラハラ見守るお母さん。
きっとあなたは、
今日、お父さんお母さんに連れられてここに初めてやって来たこと・・
おやつのクッキーを猫にあげようとして水溜りに落としちゃったこと・・・
あなたの小さなその肩にモンシロチョウがひらひらととまったこと・・・・
遠い記憶の彼方、すっかり忘れてしまうだろうけれど。
・・・けれど
「鳴いたからすがもう笑った」
あなたの無邪気なその笑顔を見てたら思い出した。
皆こうして大きくなった。
文学館 海を見渡す芝生の上で。
ちょっと頭が重くてつらいけど、
手招きするお父さんの方へヨチヨチと一心に走り出す。
その背後で、
「転ばないかしら・・・」とハラハラ見守るお母さん。
きっとあなたは、
今日、お父さんお母さんに連れられてここに初めてやって来たこと・・
おやつのクッキーを猫にあげようとして水溜りに落としちゃったこと・・・
あなたの小さなその肩にモンシロチョウがひらひらととまったこと・・・・
遠い記憶の彼方、すっかり忘れてしまうだろうけれど。
・・・けれど
「鳴いたからすがもう笑った」
あなたの無邪気なその笑顔を見てたら思い出した。
皆こうして大きくなった。
文学館 海を見渡す芝生の上で。