鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第55号(2005年6月23日)
Something to do…
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紫陽花
甘露の井のほとり。
苔むす平石に腰掛けて、黙々と絵を描く。
通りすがりにこっそりと振り返る。
スケッチブックに漲る瑞々しい色彩。
生まれたての露華の煌き。
淡い水色の吐息までも聞こえてきそう。
ふうーっと深い溜息をつく。
「あなたの絵には、生命感が足りないのよねぇ」
そう、これは美術の先生の決まり文句だった。
鐘楼の傍。
ビャクシンの根元に寄りかかり、
静かに空(くう)を見つめる。
右手に握りしめたメモ帳と鉛筆。
ふと思い立ったように腕組をして辺りを徘徊。
次の瞬間、さらりと言葉を書き留める。
必死に指折り数えて…五・七・五。
懲りずに何度も繰り返す…足りない!? 余った!?
規定の文字数。気になりだしたら止処もなく。
これって、単に血液型のせい?
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雪ノ下
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仏殿
余程、興味をひいたのだろう。
「アレ?ナンデスカ?」
しきりに首をかしげる青い瞳の外国人Tourist。
案内役の若者二人組、顔を見合わせ思案中。
ついに、威勢宜しく「Wooden Gong !!」
確かに…ナルホド…。
深夜TVのプロレス格闘シーンを思い出し、
つい可笑しくなった。
シャッターを切る音が違う。
構図を捉えるセンスが違う。
黒光りする重厚なカメラを胸元に抱え、
虎視眈々と、狙う被写体に歩み寄る。
ファインダーに顔を近付け、暫し息を止め…。
一本気の眼差しと静寂を貫く純正音。
いかにもその道のプロといった緊張感。
ふぅん…。何だかちょっとカッコイイ。
真似したいけれど、
両脇を締めて…を思い出すのがやっと…なんだなぁ。
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未央柳
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回廊
初夏。
浄智寺境内で見かける面々。
何かしたいな。
何かできたら。
自分にだって
きっと何か、できるはず。
でも…。
やっぱり何にもしなくていい。
できないことはしなくていい。
ただそのまま、その場にいるだけで。
ただじっと、その空気を感じているだけで。