鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第71号(2005年9月13日)
The east end of Kamakura
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花野の祭墓
十二所の光触寺。
ご本尊は、運慶作の頬焼阿弥陀。
無実の人間に代わり、
自ら痛い思いをした阿弥陀様。
今なお消えぬ阿弥陀様の頬の焼け痕。
こんな寺伝がある。
町局という女人、
この阿弥陀様を一心に信仰していた。
ある時、家の物が紛失することから
町局は仕えていた万才法師に盗みの疑いをかけ
罰しようと左の頬に焼き印を押すが、
いっこうに焼け痕がつかない。
その夜、町局の夢枕に阿弥陀様が現れた。
「なぜ私の頬に焼き印を押すのか」
阿弥陀様は涙を流してこう呟いたという。
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野鶏頭
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塩嘗地蔵
金沢街道を行き交う行商人。
六浦より鎌倉へ峠越えの際、
この地蔵堂に初穂の塩を供えて商売繁盛を祈願した。
ところが、
帰途には供えた塩がない ――
きっとお地蔵様が嘗めていらっしゃるのだろうと
この名がついた。
当時、塩は貴重な生活必需品。
里人たちがそっと持ち帰っていたとも。
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たまあじさい
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秋影
山門の石段
買い物袋を抱えたおばあさんが二人
仲良く肩を寄せ合い、ひとやすみ。
滑川上流の涼やかなせせらぎ。
谷戸にひっそりと佇む鄙の里。
長閑な秋の一日。