鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第73号(2005年9月21日)
Going down a mountain path … (1)
滑川の源流 太刀洗川にそそぐ小滝。
神々しい水しぶきの霧粒が頬を撫でる。
ここは、
和田義盛の三男 朝比奈義秀が
一夜にして開削したという幻伝説の残る
朝比奈切通し。
両側に切り立つ岸壁。
ぬかるんだ石清水の山路。
時折 鳥の声が杉木立に木霊する。
どこか人里離れた幽谷に迷い込んだかの風情。
今ここで息絶えても、きっと誰も…ふと過る一抹の不安。
ゆっくりと辿る足元に、
藤にも似た赤紫の小さな花びらがポツポツと。
見上げると、
生い茂る草叢の陰に艶やかな葛の花。
「こっち こっちよ」薄葉がひらひらと手招きをする。
「ようこそ いらっしゃい」芳しい香りも秋風に戯れて。
葛咲くやいたるところに切通(下村槐太)