鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第74号(2005年9月21日)
Going down a mountain path … (2)
峠の頂上は、鎌倉市と横浜市の境界。
山壁をざっくりと刳り貫いたやぐらには
大小さまざまな石碑・石仏が静かに佇む。
暫くして現れる分岐点。
案内板が示すのは、
源頼朝が切通しの守護神として
熊野三社大明神を勧請したとされる熊野神社。
天を貫くようにまっすぐにのびる石段。
ガランガランと社の鐘を力いっぱい鳴らす。
「気がついて、私はここよ」と叫ばんばかりに。
鳥居を振り返ると
笹原を黒い蝶がゆらゆらと舞い
やがて森の奥へと消えていった。
たった今、蕾の殻を破って抜け出たばかり。
瑞々しい朝露にしっとりと潤う《生》なる姿。
みんなこうして
一歩一歩 少しずつ。
空へ空へ 伸びやかに。
できるだけ長く
この光を 風を 緑を この身に感じていたい ―――
山を下りながら、つらつらとそんなことを考えていた。