鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第8号(2004年6月12日)

The color of June

桔梗

すくっと細い茎がまっすぐに伸び、
その先には星形の清楚な花。
その姿は、素朴ながらも凛としていて、
傍にいるこちらも気持ちがキリリと引き締まる。

満開時期にはまだ早い。でもこれが好い。
小さい蕾が2,3残っているとなお嬉しい。
ほおずきに似た萌黄の膨らみ。
はんなりと柔らかな感触。
そっと手でつまんで、プシューっと…!
だめだめ。高まる衝動をじっと我慢。

幾何学的なシルエット美。
背筋を正して至近で対面。
花びらにはうっすら幾筋もの青い血潮。
見れば見るほど、
どんどん自分が浄化されていくような。
紅色のガクを持つことから
この名が付いたという。

咲き初めは白いのに
だんだんと紅を帯びて
やがて濃紅色になる。

ガクアジサイに似ているけれど
どことなく西洋的な雰囲気が好き。

わずかに丸みを帯びた
トライアングルの花形が愛らしい。
花かげが青い岩苔に溶けこんでゆく。

べにがく

睡蓮

6月の空気を大きく深呼吸。
木の長椅子に腰掛け、谷戸の音を聴く。
目前、密やかに佇むヒツジグサ。
池にぽつんとアイボリーのアクセント。

あっここにも。
カサカサッと音をたてて
今にも花開きそうな白い蕾がひとつ。

いたいた。
そーっと背後から近づいて・・・。
っとその瞬間、
葉の上で休息中の雨蛙が、
元気よく水面に飛び込んだ。

あれ?どこいっちゃったんだろう。

やがて、
静寂を取り戻す池の縁。

未央柳

水無月の候
空気がたっぷりと水分を含んでいるせいか
映る景色が目に優しい。

ここに立ってこの庭を眺めるとき、
日本人に生まれてきたことを、
日本の文化を、
誇りに思い、
大事にしたいと
心から感謝する自分がいる。

傍らで
未央柳がさらさらと水の粒子と戯れる。

山百合

やぐらの上方を見上げると
シダの繁みの中に、
のびのびと大きく成長した山百合。
水玉模様の白いワンピースを着た
貴婦人のように華やいだ印象。

「ミテミテ、ハヤクキガツイテ。
 コッチコッチ・・・ワタシハココヨ。」
強い個性と迸るエネルギーのバランス。
自己主張が著しい。

「風と共に去りぬ」のスカーレットに
思いをはせながら。

風がなでるように吹き抜けてゆく。
扇ガ谷 海蔵寺にて。