鎌倉好き集まれ!JUNEさんの鎌倉リポート・第9号(2004年6月19日)

A poetic sensibility

ズイドウ

買い物帰りの歩を緩め、
トンネル上を見上げる二人の老夫婦。
目線の先には、
小振りながらも汚れなき紫陽花の集落。

あんな高い場所にも、健気だね。
決して目立たないけれど一所懸命。

廻る四季の移ろい、
変わりゆく鎌倉の街並み、
通園,通学する子供たちの笑顔、
毎日毎日見てきたろうね。

ひとつの発見を
ふたりで分ち合える喜び。
夏来たるらし。
無性にカレーが食べたい。

御成町商店街に、
かつてあったOrganic Foodのお店。
注文を伝えてしばらくすると
奥から「ジュウ~ッ」と威勢のいい音と共に
芳しいスパイスの香り。

南瓜に茄子,ゴーヤをじっくり煮込んだ
玄米野菜カレーは、ホットな湘南テイスト。
トッピングのクコの実と松の実は、
真夏のビーチで燃ゆる恋人達を彷彿す。

スペースAXA

まあるく刈り込まれた植込みから
ぽくっと照れくさそうに顔を出す石仏。

少しでも新鮮な涼風を肌に感じ、
朝に夕に四季の眺めを身近に捕えるように。
そんな有り難い周囲の心遣いに合掌。

忘れずにいてくれてありがとう
そんな声がかすかに聴こえてきた。

月のきれいな晩には
きっと竹取物語かぐや姫の心境。

ひょっこり

カラー

雨粒が大きくひらいた葉を打ち
パタパタと音をたてる。
しっとりと清楚ではあるけれど
決して他に頼る素振りを見せない。

雨降る雲間をじっと見つめながら
強い独立心と律儀さを感じ、
ふいに義母の姿を映す。

来月迎える古稀の祝。
ぜひこの花を贈ろう。

底抜の井

散った紫陽花の花びらが、
水面に重なり合って浮かぶ。
いつもひっそりと静寂な井戸も
今日は、神秘の森の紺碧の湖の如く
爽快華やぐ風情にすっかり様変わり。

井戸端に野球帽を被った少年たち。
二人ともお揃いのチェック柄のTシャツ姿。
「危ないからこっちにおいで。」
向こうでお母さんの呼び声がする。

「お兄ちゃん見て見て。アメンボがアイスダンスしているよ。」
「ほんとだ、ここならジャンプして転んでも大丈夫、怪我しないね。」

子供の発想って無限大。
裏山の竹林がさやさやと音をたてる。