鎌倉好き集まれ!KIさんの鎌倉リポート・第100号(2008年7月28日)

続々『湘南海岸,歩き旅』 ミーニシ編(その3:横須賀~三浦 +鎌倉)

ここは湘南 ~荒波の秋谷海岸と蒼天の芦名マリーナ~

冬晴れの秋谷,立石海岸(2007年12月9日撮影)

高波越しに眺める江ノ島(2007年12月29日撮影)

日付変わって2007年12月29日。
 秋谷海岸からお隣の芦名海岸を再び訪れました。前月に訪れて「湘南的風景が横須賀市北部地域にまで広がっている」と確認した場所です。
 この日,湘南海岸歩き旅のスタート地点である同地の真昼の様子を見ることができました。風が大変強い,というより猛烈な強風吹き荒れる晴れ渡った年末の午後でした。
 まずは,13時の秋谷海岸からです。
 強烈な海風が陸へと吹き付けていました。沖合いだと4,5メートルはあろうかと思える大波の合間をサーファーがたくさん漂っていました。じっと眺めていると,顔に砂粒が次々に叩きつけるほどでした。

ヨット連なる芦名の湘南サニーサイドマリーナ(2007年12月29日撮影)

湘南サニーサイドマリーナその2(2007年12月29日撮影)

秋谷海岸から出来るだけ海岸に芦名海岸まで歩こうと道をたどりますが,鎌倉の海岸歩きのようにすんなりとはいきません。南下するほどに複雑に入り組む三浦半島の入り江。住宅や山間のクネクネ道を道標もなく歩き進まざるを得ません。

「ダメダメ~,ここは海岸が崖だから海沿いに行くのは無理無理」

とうとう困って,道行く人のアドバイスに従って,国道134号線に引き返して芦名海岸へ。彷徨ったために1時間費やしました。
 芦名海岸の湘南サニーサイドマリーナに着いたのは,日も西に傾いた15時前でした。突き抜ける青空の下,ズラリと居並ぶ白いヨットの船体が映えます。写真ではわかりませんが,風の激しかったこと。ヨットは「キシ,キシ,キシ・・・」とひっきりなしに金属音をまくしたて,自分は横殴りの突風によろめく有様。

冗談抜きで,台風並みだったと思いますよ~

臆病なまでに「安全性」の3文字を念頭において,全身の筋肉を両足に集中するような思いで,湘南的雰囲気たっぷりのマリーナを後にしました。
 次の目的地の佐島マリーナへは幸いここから一本道が通っています。暴風は嫌だったけれど,このあたりなかなかの絶景でしたよ~。

佐島マリーナと佐島漁港

湘南佐島なぎさの丘(2007年12月29日撮影)

佐島漁港で手袋とジャンケンポン!(2007年12月29日撮影)

15時半,佐島マリーナの入口に到着。
 佐島マリーナがあるあたりは天神島といってかつては離島でしたが,今は橋を渡って陸続きです。小さな島の中央には海神の祠があり,ビジターセンターと食堂がある北の磯浜からは,江ノ島とそれを取り巻くヨット群が遠巻きに見渡せます。そして南岸には佐島マリーナのヨットハーバーとホテル。
 江ノ島のはるか南から,たっぷり湘南を演出します。

橋を引き返し,マリーナの対岸(三浦半島側)に向かうと,山肌を背に佐島の漁港が沿岸いっぱいに横たわっています。大磯の海から片瀬江ノ島を経て延々40キロ歩いて見てきた漁港の中でも抜きん出て大きな漁港。
 磯の香りと風情たっぷりの漁港町を堪能しながら散策すること約1時間。気づけば空は橙色に染まっていました。
 この日はもう少し南へ進みたかったのですが,2007年内はどうやらここまで。夕焼け空の下,湘南佐島なぎさの丘を経て,国道134号線へと向かいます。

「江ノ島発の湘南の風ははるか南の佐島にも至っていました。この続きはまた来年ということで。」 

17時,佐島入口BSからバスに乗り,鎌倉へと戻りました。

佐島をさらに南下すれば,いよいよ三浦ダイコン

明けて2008年の1月26日。再び佐島。
 この日は気温は低かったけれど風は特にきつくはなく,昨年歩いた佐島マリーナから漁港までぐるーっと一巡。
海岸沿いに辿れる道はないかと漁港から南へと海岸沿いに歩きましたがまたまたN.G.
 見事,海に突き出す崖に阻まれ,もと来た道を引き返した次第。
 13時半,昨年末のリタイア地点,佐島入口BSから国道134号線南へと歩を進めます。近くの電力研究所の守衛所で海岸に出られる場所がないか尋ねましたが,これより先,海岸らしい海岸は当分ないらしいとのこと。電力研究所から横須賀市民病院へ,佐島とは裏腹に何の変哲もない町並みと道路がずっと続きます。横須賀
市民病院の脇からわずかに海辺に出られる場所がありましたが,ごく狭い砂浜(斉田浜)。

「どうやら湘南の風は佐島までだな・・・」

巨大な工場に隣接した,何もない場末の砂浜。鉄色の海の向こうを見渡せば佐島マリーナのホテルがそびえていました。
 これより南は,三浦市との境界付近まで海岸沿いには立ち入れず,延々と2キロほど続く自衛隊基地を右手に,ひたすら国道134号線を歩き続けました。
 「三崎口」行きのバスが時々,自分を追い抜いていきました。

工業地帯にある斉田浜(2008年1月26日撮影)

長井の富浦海岸(2008年1月26日撮影)

三浦ダイコンの風景が目立ってきます(長井にて,2008年1月26日撮影)

そして15時,再び海を拝んだのは横須賀市の南端,長井。三浦市とは目と鼻の先です。サーフィンもウィンドサーフィンもヨットもない,ひたすら漁港と堤防の光景は今まで出会った湘南の海とは一味も二味も違う海風景
 道路の両脇には,キャベツやダイコンの畑が広がっていました。

横須賀の最果て,荒崎海岸の岩礁風景

巨大な奇岩がそびえる荒崎海岸(2008年2月29日撮影)

荒崎海岸の夕景(2008年1月26日撮影)

荒崎入口の三叉路を西へ,海沿いに延々と連なるこれまた大きな長井漁港を通り抜け,横須賀でも屈指の名勝「荒崎海岸」にたどり着いたのは,もう17時前。

入り江に, 巨岩に, 奇岩に, 断崖絶壁

まさにこれぞ三浦の海岸風景。
 鎌倉の海とは比較にならない険しい岩礁があたり一面に広がっていました。この荒崎海岸のシーサイドハイキングコース(2.5キロ)を南に越えれば,三浦市北部の和田長浜海岸なのですが,暗闇迫るこの日はリタイア。
 
そして,改めて荒崎海岸を訪れたのは,日数流れて2008年2月29日。横須賀市西海岸全域の踏破を目指して,今度は三浦市側の南口からこのハイキングコースにチャレンジ。
 13時に三浦市の和田をスタートし,荒崎海岸の南端から歩き進んだ次第。満潮時ゆえに思った以上の悪路に,リタイアも本気で考えましたが,時には水没した磯を裸足になって進み,時には迂回ルートで峠を越えて,何とかハイキングコースをクリアしました。荒崎海岸の北口に着いたのは17時。三浦の岩礁の荒々しさを身をもって味わいました。
 数々の難渋・挫折を経て,2008年2月29日,横須賀市の西海岸全域(約12キロ)をやっとの思いで歩ききった次第。2007年11月から休日ばかり利用して約12キロのガタガタ道を6日に分けて正味20時間を費やしましたが,西湘南の茅ヶ崎サザンから二宮までの約18キロを2日(正味6時間)ですんなり歩ききったのと対照的でした。
 

そして,早春の湘南鎌倉に飛んび

3月上旬の由比ガ浜サンセット

3月上旬の腰越海岸サンセット

湘南海岸歩き旅の遠征を終え,戻ってきました湘南鎌倉。
 とにかく険しい三浦の海岸と格闘した身には,鎌倉の海岸はこの上なく優しくおだやか。

ピィー, ピィーーィ

しばし,風光明媚な早春の海に魂を横たえます。
 2006年の第1弾から含めれば,二宮町の袖ヶ浦から三浦市の北端,和田海岸まで約50キロにわたって相模湾岸を歩いてレポートしたことになります。
 実は,さらに南下して三浦市の奥深くまで歩き進みました。次回以降にこのことも含め,2006年10月から3年にわたった歩き旅を振り返って,よく話題になる「湘南はどこまで?」の問題についてもっと考察しましょう。

それでは,今回ここまで。        2008年7月28日 K.I.