鎌倉好き集まれ!kumaさんの鎌倉リポート・第8号(2004年11月21日)

海(その1) 稲村ヶ崎

もうすぐ灯台が光る。

大好きな海を特集にお届けしようと思う。今回は稲村ヶ崎。
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まだヨコハマにいた幼い頃から、
稲村ヶ崎から見る江ノ島の灯台が大好きだったらしい。

「らしい」と書いたのは大きくなってからよく両親の思い出話に聞かされたからで、
ぼくの中にかすかに残る稲村の思い出は、
実体験によるのか、作られたものなのかは分からない。

でも。
レストラン(MEIN?)で窓に釘付けになって、江ノ島の明かりに魅入ってた。
「ひかろ、ひかろー!」(「光れ」の意らしい)
それは確かに小さい頃の記憶。

三つ子の魂とはよく言ったもので、
江ノ島の灯台に明かりがともる頃、どこにいても稲村の風景を思い描いてしまう。


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私の耳は貝の殻、海の響きを懐かしむ

鎌倉は時間の流れかたが違う。
使い古された言葉だけど、その理由は波の音にあるんじゃないかなと、ぼくは思う。

寄せては返す波の音。
このゆったりとしたリズムはメトロノームのように鎌倉に住む人々の心を調律し、
人々を魅了するおだやかな街の空気を形成しているような気がする。

遠くにいると特にそう感じるので、
久々に帰ると何時間でも波の音を聴いていたくなる。
あくせくした日常を忘れ、おだやかなリズムを取り戻そう。


【写真】湘南の海は汚い(黒い)ので有名だが、夕暮れ時は別。
この時間の波は、黄金のように輝き、心まで染め上げてくれる。
(詩:コクトー)


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誰が撮っても絵になる。ここは。

「こうしてこうやって、棒を立てるんだよ。」
「えー?」
「ほら、ここをぐーーっと、」
「おにいちゃんすごいなぁー。」

そして間もなく波がやってきて、棒を倒してしまう(笑)
この兄弟は何度も棒を立てて遊んでいた。(セリフは想像です)


歳の近い兄弟はいい。仲睦まじく。上は下を慈しみ、下は上を尊敬する。
うちは歳が離れてたので、すごくうらやましく感じる。
この子たちにもこの日の夕暮れがずっと残る思い出になるといいなぁ。

すっかり心のリズムが落ち着いて、なんとも感傷的な夕暮れだった。


■ゆったりとした波の音、皆様の耳にも届きましたでしょうか。