行合橋のところから、青々とした海を眺めると波が高いのに驚きました。台風12号が去ったばかりなので、荒波は当然なのですが、海岸に打ち寄せる波は浜辺を舐め尽くすようにして引いていきます。これでは、海岸に降りないで、高みの見物をしていた方が無難です。

　案の定、時折大波が海岸にいる人々を襲っては、運の悪い人をずぶ濡れにして去って行きます。空気が澄んでいるせいか、江ノ島はくっきりと眺望できます。高波が弧を描いて、七里ヶ浜に打ち寄せるさまが腰越に至るまで見渡せるのです。

　台風一過で、空はすっかり秋の空です。暑くも寒くもなく、湿度の低い陽気は、ヨーロッパの夏を思わせます。「なかむら庵」でそばを食べて、店を出ようとすると、店の人に、「いい季節になりましたね」と声をかけられました。その通りです。