鎌倉好き集まれ!つなさんの鎌倉リポート・第5号(2006年1月1日)

鮎川哲也 『王を探せ』

第5回は鮎川哲也『王を探せ』を取り上げます。

ある男が殺され、容疑者と思われる人物の名前が見つかるのですが、
なんと関係者の中に同姓同名が複数人いるため、
刑事たちは、一人ひとりのアリバイを調べていきます。
その中の一人が、大船観音の前で友人と撮影をしていたと証言し、
刑事たちは、大船観音や段葛に向かって
手がかりを探していくのですが・・・。

作品の中で、大船はあまり多く取り上げられていませんが、
鎌倉に住まわれていた鮎川氏ならではの懐かしい描写もあります。
このシーンの会話のなかでも
「大船駅のそばから、もう一つべつのモノレールが
反対方向へ走っていたんです。」
というあたり、知らない若い方が増えてきていませんか?

雲一つない青空がバックだと、
白衣観音はさらに美しいですね。

これより15mほど上が、観音様の視界(推定)。

ここ「大船」は、他の作品でも使われています。

第1回で取り上げた斉藤栄『鎌倉さざんか寺殺人事件』では、
誘拐事件の身代金受け渡しの場所となりますし、

津村秀介『横須賀線殺人事件』では、
横須賀線8番ホームに停車中の下り電車の車両内で
女性が殺される事件がおきます。
本の中では、観音様のお膝元でばかり事件がおきていますが、
本当の事件事故は、おきてほしくないですね。

そんな事件は許しません。わたしは見ていますよ。

わたしも見ていますぞ。

おやっ、観音様以外にもう一人、
「阿弥陀如来」も見守っていらっしゃいますね。